洗い・本堂修復工事

土壁の中塗りが終わり、木部【洗い】の工程に 入りました。薬品を使う場合もありますが、 今回は、水、のみ。 本当に水だけ?と、思うほどきれいになります。 写真手前の木目がはっきりしている部分は、 洗い後、奥の黒い部分は洗い前です。 こんな道具を使います。 藁を束ねブラシ状にし、穂先をたたいて柔らかく 水もたっぷり含むようになっています。 左が使用前の水、右が使用後、真っ黒です。 冒頭の写真に戻りますが、 ブラシと水で、木を傷めないように根気よく、...

ちりとんぼ・本堂修復工事

なにも手を打たないと、柱等の木部と土壁の間に やがて隙間が出来てしまいます。 柱に堀込【ちりじゃくり】を入れて、土壁をめり込ま したりしますが、今回、古い壁を剥がしてみると、 木部に堀込がありません。 そこで今回は、木部と土壁が接する部分に 【散りとんぼ】を打ちました。 伝統工法ですが、今では珍しい作業です。 細い釘に麻縄が巻き付けてあり、この麻縄が 離れようとする土壁を引きつけます。 これを1本、1本、取り付けます。 そうすると、最初の写真のようになります。...

本堂修復工事

北区十条のお寺で、本堂の修復工事をさせて いただくことになりました。 本堂全体へ足場を掛け、痛んだ部分を調べ 修復計画を立てます。 今回は特に漆喰壁がだいぶ傷んでいたので 漆喰部分を剥がし、その下の土壁も 粘りが無くなっていたので、剥がして下地から 塗り替えです。 今回も左官職は、練馬の蔵でお世話になった 小松さんに絶大な信頼で、お願いしました。 そのほかに、銅板職、瓦職、あく洗い職、 社寺のプロ達が腕をふるってくれます。 みなさんよろしくお願いします。 練馬区の蔵については、こちら...

文庫蔵移築再生工事

2月から始めた文庫蔵移築再生工事。 やっと足場が取れて、まもなく完成です。 普通の住宅地に突然現れた民家! 皆さん立ち止まり、興味深げに見あげていきます。 今回はお施主様のセルフビルドの部分があり、 ゆっくりとしたペースで進んでいますが、 この蔵が過ごしてきた時間を考えると1200分の 5ヶ月に過ぎません。 さらにこの地で100年過ごすのであれば、 納得のいく工事を時間をかけて行うのも すてきな、贅沢なことです。 上の写真は、2階のギャラリーになる部分です。 完成が楽しみです。 お客様自らが立ち上げたブログも ご覧ください。...

練馬区の蔵

ひび割れて、崩れかけていた蔵の再生工事が 無事に終了し、蔵が大地にしっかりと根付きました。 今回の左官工事は、 国宝犬山城修復や多くの蔵の再生工事の 実績を持つ、小松左官工業の小松さんにお願い することが出来、 その匠技を間近で体験することができました。 上から、 洗い出しの笠木、黒弁柄洗い出しの腰壁、 擬石の基礎、まるで左官技術の博物館です。 とかく伝統至上主義に走りがちな再生の世界で、 小松さんは、伝統技術をしっかりと踏襲しながら、 ひび割れ防止のため、下地にガラスネットを 使用するなど、新らしい技術も柔軟に取り入れます。...