再生民家での暮らし 11月25日~26日
(友人との往復書簡より)
by 久保隆一
目的の民家を調査した後に、実際に民家をリフォームして暮らしている方の話を聞きに行くことになり、東京から移住して「窯」を開いた陶芸家の方の家へ向かいました。
残念ながらご本人はお留守でしたが、奥様の話を聞き、その紹介で別の家族の家にも伺います。二家族とも水周り(台所、風呂、トイレなど)は現代的に使いやすく、皆が集まれる部屋には「薪ストーブ」を置き(骨太の民家に薪ストーブは良く似合います。)個性的にリフォームをしていらっしゃいました。両者のお話を聞くと非常に重要なポイントが見えてきました。
リフォームは物理的な問題であるので、お金を掛ければ民家に住むことは可能である。しかし・・
民家に住むということは、それがある地域社会に暮らすことであり、その一員として生活をすること、そのことをよく検討するべきだと言うことが、ポイントのようです。
「田舎暮らし」なんとなくのんびりとした言葉ですが、実際は生活慣習の違う社会に暮らすということです。違ってあたりまえの海外生活も大変ですが、同じだろうと思ってしまう国内の慣習の違いは、慣れるまで意外とストレスであろうことが想像されます。両家族は色々な体験を経て、民家での本当の暮らしを手に入れつつあるようです。
今回の旅で、反省をこめて考えさせられたことは、「家」を設計するということは、「暮らし」の器を設計すること、そこは「生活」の場であること。今までの自分はそこまで深く考えていただろうかと言うことです。自分にとって本当にいい旅になりました。
さて、2日目は他県から移住し、「飛騨の匠」の世界で仕事をしている方々をたずねて廻りました。楽しみにしていた「友人の個性的な仲間たち」です。最初に「工房もくもく」さんへ、木工と木彫等を仕事にされていて、面白い表札が目にとまりました。新築祝いにいかがでしょうか?
次に訪れたのは、一刀彫り師の宮崎さんの工房へ、お茶をご馳走になり、今にも動き出しそうな蛇の木彫には驚きました。蛇を飼って観察したそうです。「匠の森」の中の工房は製作の場と販売の場をかねていますので、高山に行くチャンスがあれば、是非立ち寄ってみてください。伝統的な技術を使い、現代的なテイストのもの、伝統的なテイストのものが色々有ります。
友人の大竹さんと宮崎さん
手入れのされた道具と作品
急ぎ足でしたが、色々な人と出会い、貴重なことに気づくことができた旅となりました。
民家再生物語〜飛騨の国から(1)
民家再生物語〜飛騨の国から(2)
民家再生物語〜飛騨の国から(3)
民家再生物語〜飛騨の国から(5)
民家再生物語〜飛騨の国から(6)
民家再生物語〜飛騨の国から(7)
古民家再生施工事例 A様邸